《ごあいさつ》

 2014(平成26)年度より本城秀次前理事長からバトンタッチをして理事長を拝命しました小林隆児(西南学院大学)です。初代の栗田廣元理事長に始まり三代目となります。
 今日、こころの臨床領域は、世界が大きく変動する中、ますますその役割の重要性が認識されつつあります。その象徴的な話題は発達障碍ブームといえるかもしれません。本来、発達障碍は乳幼児期に始まるものですが、今では成人にいたるまであらゆるライフステージで理解困難な事例が発達障碍という枠組みで理解されようとしています。昔を良く知る世代の精神科医からみれば、かつてのボーダーラインブームを彷彿とさせるものがあります。しかし、それもいまでは虐待体験との関連が強く指摘されるようになりました。
 このようにこころの臨床領域では常に乳幼児期に注目が集まることからもわかるように、こころの臨床の問題の所在は乳幼児期にあることは多くの研究者も認めるところでしょう。その意味で乳幼児期に焦点を当てた研究に取り組むことを本務とする本学会の果たすべき役割はけっして小さくありません。
 本学会の過去20余年間の取り組みを振り返ってみますと、母子精神保健、育児支援、虐待、発達障碍、乳幼児精神発達など現代の重要なテーマに焦点を当ててきたことがわかります。しかし、残念なことに、本学会の名称が「乳幼児」医学・心理学会とされていることからもわかるように、乳幼児期のみに焦点を当てるばかりで、生涯発達という視点に欠けていたのではないかと思われてなりません。今日のこころの臨床の重要性が叫ばれている中、本学会としては単に乳幼児期のみに焦点を当てるのではなく、乳幼児期がその後の人間の成長発達過程において果たしている重要性をも発信するという役割を担っているものと私は認識しています。ライフステージ別の学会への分化がこのような傾向を強め、生涯発達を視野に入れることを困難にしているのではないでしょうか。
 今回の理事長就任にあたり、私は以上述べたことを最重要課題として捉え、重責を全うしたいと考えております。本学会員が今後の学会活動に、より一層積極的なご参加をいただき、ともに本学会の諸課題に取り組まれんことを切に希望します。また、新たに本学会に入会いただき、ともに活動を推進して下さる方々を期待しております。
 なお、理事長交代に伴い、新たに編集委員長を長尾圭造会員に、そして事務局長を永田雅子会員にお願いしました。理事会新体制のもと学会活動に積極的に取り組む所存ですので、会員の皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。


2014(平成26)年4月
日本乳幼児医学・心理学会
新理事長 小林隆児